杉並ヒーロー映画祭2020 受賞作品発表

2020年9月19日(土)〜27日(日)に行われました杉並ヒーロー映画祭2020受賞作品が、以下にように決定いたしました。

 

大賞

オーサカの夜 / 淀川 十三

 

 

 

 

 

 

 

講評でも口にしたのですが、本当に「ずるい」映画だと思いました。
手持ちカメラを振り回して捉える、タイトル通りの大阪の夜。
商業映画できちんと撮ろうとしたら絶対に写らない無骨な生感を捉えたシーンたちを観て
ああ、ずるいな、こんなの自主映画でしか撮れない、自主映画だからこそ撮れる、最高の輝きじゃないかと。
そんな思いでいつまでも大阪・十三という狭い町、一晩という短い時間の中でのロードムービーを見ていたいと思ってしまいました。
ヒーロー映画祭、という観点でいうと、この杉並ヒーロー映画祭も“いわゆるヒーロー映画”を上映する映画祭ではないわけで、
言いようによっては誰だってヒーローだし、逆に言えば、ヒーローってなんだよ知るか!、という両面を抱いていた作品に感じます。
そこもまた本作の魅力の一つだと思いました。
ありきたりな六本木の夜景をつまらなく思えるような、十三の街灯のひとつの小さな光りを忘れなくさせてくれるような作品づくりを今後もぜひ行っていってほしいです。
ゲスト審査員 映画監督 加藤綾佳

 

観客賞

リビングの女王 /

 

ザ・ベストヒーロー賞(最優秀俳優賞)

鈴木麻由(「オーサカの夜」ヨーコ役 )

オーサカの夜とW受賞になったわけですが、今回特筆すべきは主人公のジョーではなくヒロインのヨーコがヒーロー賞をとったということだと思います。
作中では一見アウトローなジョーの方がヒーローっぽく、ヨーコはついていく側に見えるのかもしれませんが、
実はいつからかその関係性はひっくり返っていて、観客側はヨーコ側のなんの根拠もなくジョーと行動してしまう強さに魅入ってしまうのだと。
ヒーローは実は彼女のほうだった。見終わってそんな後味になりました。そして抜群のリアリティを持ったヨーコを演じた鈴木まゆさんの演技力。
ちなみに今回は全体を通して女性が作中一番のヒーローだと感じる作品が多かった気がします。それもなんだか面白い傾向ですね。
ゲスト審査員 映画監督 加藤綾佳

 

バッカス賞

(高円寺シアターバッカス館長 丸山大悟氏が選ぶシアターバッカスで上映したい作品)

ネイバーフッドインベイション / 山梨のかいじ

対象となった10の作品全てに愛を表明しつつ、この作品は「出鱈目」だからバッカス賞です。
出来合いに似せた、ええ格好しいより、よほど潔い。 「良いフック」も身にまとっています。アウターリミッツとか。
僕らの映画はもっと伸びやかでいい。
ゲスト審査員 高円寺シアターバッカス館長 丸山大悟

 

ゲスト審査員 加藤綾佳監督より全体総括コメント

今回は講評会でもかなり意見が割れ、映画祭実行委員の皆様からもどの作品が受賞するかまったくわからないという言葉が出たほどバラエティに富んだラインナップになっていたように感じます。
観ている側としても作品ごとに違った光る個性をとても楽しませていただきました。
あくまで講評で意見した自身の意見も審査員という立場ではありましたが一人の観客の意見だと思っていただいたいなと思います。
100人の観客がいれば、100通りの意見があり、その中のひとつであるように、
今回のノミネート作品がさらに大きく広がり、様々な感想が抱かれることが映画の面白さです。
全作品の監督達がこれからも枠にとらわれることなく活躍されることを楽しみにしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

one × 3 =